理論抜きでザックリ「人工知能」を理解したい!「人工知能」で使われる理論とは?
ニュースでも耳にする機会も増えてきた「人工知能」ですが、「具体的に人工知能が何なのかよくわからない」という人も多いのではないでしょうか。
プログラムを使って「人間の脳」の中にある神経回路の働きをコンピュータ上で実現したものが「人工知能」なのですが、「学習能力」をコンピュータに持たせているのが大きな特徴です。
人間の脳の中には100億以上もの「ニューロン神経細胞」があり、その働きをモデル化したものを「ニューラルネットワーク」と言います。
このニューラルネットワークの仕組みをするためには、数学アレルギーを持っている人には大変辛い「難解な数式」を理解しなければいけないので、「結局何をやっているのかよくわからない」と思われてしまっている気がします。
今回は、数式をできる限り使わず「人工知能の仕組み」を理解しできるに図を用いながらご説明をしていきましょう。
「人間の知能を模倣する」とは?
人間の「ニューロン神経細胞」はそれぞれ独立して存在していますが、それらはネットワークを作り互いに作用し合っているため、ある細胞の状態が他の細胞に情報を伝達するための経路を持っています。
上図の青い丸の部分が「ニューロン神経細胞」、そして黒い線のつながりがそれぞれの細胞への情報伝達経路を表しています。
この図の状態をコンピュータ上に作り、「ニューロン神経細胞」と同様の働きをプログラムにしたものが一般的に「人工知能」と呼ばれています。
「人工知能ってなんだか難しそう・・・」
と思われていた方も何となく「人工知能の正体」のイメージが湧いてきたのではないでしょうか。
これ以上の詳細な説明は「数式」が関連してきますので、詳しく知りたい方は下記をご参考いただければと思います。
人口知能分野は幅広く、その一分野に「機械学習」と呼ばれる分野があります。
それでは、少し「機械学習」についてもご説明をしていきましょう。
人間の知的学習をコンピュータで行う「機械学習」とは?
人間が普段行っている「学習過程」をコンピュータに行わせる手法を「機械学習」と言います。
あるデータを元に規則性や特徴を見出し、自身のアルゴリズムを進展させていく方法なのですが、データを統計的に扱うことから「統計学」との関連性も深い分野となっています。
現在では、データサイエンスの一分野としてビジネスで活用される事例も増えてきており、大量のデータ(ビッグデータ)からビジネスに有用な規則性を導くために、機会学習の技術が活用されています。
機械学習も詳細な理論はやはり「数式」を理解する必要があるため、機械学習の要素には概ね下記のようなものがあります。
- 回帰分析
- 最尤推定法
- パーセプトロン
- ROC曲線
- ロジスティック回帰
- k平均法
- クラスタリング
- EMアルゴリズム
- ベイズ推定法
統計学を学んだことがある方なら知っている言葉がいくつかあるのではないでしょうか。
「正規分布・標準偏差」などの統計知識も機械学習を理解するためには必要になってきます。
また、「線形代数」の知識も必要ですので、本格的に学習を行うと大学で学ぶ数学の知識が必要になってきます。
では、実際に人工知能を用いたシステムについて見ていきたいと思います。
IBMのWatson(ワトソン)
クイズ番組にチャレンジして有名になった人工知能がIBMが開発した「Watson(ワトソン)」です。
しかもクイズ番組で100万ドルを稼ぎ出し、慈善事業に役立てたとのことです。
ワトソンの知識を増やすことで、医療診断や裁判などでその質問応答技術が活躍する時代がくるのかもしれませんね。
膨大な情報から最適なレシピを提案してくれたり、栄養バランスを考えてレシピを提案することなどができるそうなので、オンラインでWatson(ワトソン)に今日のレシピのアドバイスをもらうなんてこともできたらいいですね。
将棋対戦型人工知能
長年、「将棋」や「チェス」などで、人間と人工知能の対戦が行われていますが、2012年に人工知能が人間に勝った事例として話題になったのが、「ボンクラーズ」という人工知能。
現在では、人間はもはや「将棋」では人工知能に勝つことが難しくなってしまっていて、人間より「優位」に立ったわかりやすい事例と言えます。
膨大な対局データベースから「一番良い手」を導き出すスピードは人間の能力をはるかに超えてしまった事例として話題になりました。
→「人間 VS コンピューター 人工知能はどこまで進化したか」
東大入試ロボ「東ロボくん」
国立情報学研究所が中心となって東大入試に人工知能に挑戦するという一風変わった人工知能が「東ロボくん」です。
人工知能技術の発展のために立ち上げられたプロジェクトなのだそうで、既に入試合格レベルの成績を出しているとのことで、平均点を大きく上回っているそう。
ただし、解答結果が「知識依存の解答」だったらしく人間のような「連想的発想能力」には欠けているとの声もあったりします。
今後も改良を重ね、「当たり前」に東大入試に合格する東ロボくんに進化していきそうですね。
MIT科学者が生み出した人工知能
アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者が創設したのが「アイロボット社」。
「ピン!」っと来た人はおそらく「ルンバ」愛好者のはず。
その「ルンバ」にも人工知能が使われています。
しかも国家プロジェクトで実績のある技術を用いて開発されたのが「ルンバ」なんですね。
ルンバの人工知能には「AWARE(アウェア)」という名前が付けられていて、部屋の大きさや汚れ度合いなどを判断しています。
掃除する部屋の汚れ具合や広さは千差万別なので、人工知能によって、「部屋の広さや形状に応じた掃除方法」を人工知能で決定していたんですね♪
人工知能オペレータシステム「AmiAgent(アミエージェント」
将来、人工知能が発展していくと失われていく職種とされている「受付業務」。
人工知能がその代替をするとされてきましたが、人工知能を用いたシステムが「AmiAgent(アミエージェント」です。
対話エンジン・音声合成エンジン・音声認識エンジンなど多種の高度な複雑なシステムで構成されていて、オペレータの人件費を大幅に削減できるとして注目されています。
ただし、「人間が判断しなければいけない事案」というのも必ず発生するので、「全て」では無くて「大部分」を人工知能に任せることができるようになると思われます。
「人工知能技術」の未来
人間が行っている活動を「人工知能に代替させることができる」ことができ、「人間の能力を超えた思考力」を持つことで、社会発展を促進させるという目的がある一方、「人工知能の誤った判断の責任は誰が取るのか?」という問題も発生します。
社会を大きく変える社会的変革は同時に「新しい問題を生み出す」と言えるかもしれません。
しかし、その問題の克服を無くして社会発展も無いという側面もあり、「どこまで人工知能に任せるのか?」の線引きが大切なのではないでしょうか。
これからの人工知能技術が「正しく」活用され、人間の知能と人工知能が共存できる社会になってほしいものですね。